今回は、大阪府立豊中支援学校の首席上戸さまに、「ミライスピーカー・モビィ」の学校での活用方法についてお話をお聞きしました。
サウンドファン(以下「SF」)
ミライスピーカーのご購入のきっかけについて教えてください。
豊中支援学校主席 上戸さま(以下「上戸さま」)
本校は知的障がいのある子どもたちが通う学校です。通学している児童生徒の中には、障がいの特性として聴覚過敏のある児童生徒が一定数います。
聴覚過敏の児童生徒は聞こえ方が随分と違い、聞きたい音とそれ以外の音の区別や調整が難しかったり、逆に特定の音を極端に聞き取ってしまったり、ということが起きます。そのため、マイクを使ったアナウンスを聞くと、耳を塞いでしまう児童生徒もいるのです。
そんな中、教職員の中で「本校のスピーカーが足りないね」という話がありまして、スピーカーの追加購入を検討することとなりました。その際、「ミライスピーカー」についてTVで見た教員から「本校の子どもたちにとっても、聞こえやすいスピーカーがあるよ」と紹介をうけました。
「聞こえやすい」ということは、本当に危険な時、直ちに誘導がみんなに伝わらないといけない時や、避難しないといけない時に、その強みが発揮されると考え、学校で、ミライスピーカー活用の取り組みを始めようということになりました。その、学校防災という取り組みについて、大阪府から認めていただき、補助を受けることができました。
SF:
ミライスピーカーの活用方法について教えてください。
上戸さま:
防災用として購入したのですが、日々使うことで生徒達はその「聞こえ」に慣れていきますから、授業やホールでのアナウンス、体育館、運動場など、日常から使っています。
例えば、音楽の授業で音楽を流すのに使ったり、集会などホールに生徒が集合する場面で話をする時に使ったり、体育館や屋外の避難訓練でも使っています。
教室ではミライスピーカー1台で充分ですが、体育館や屋外では2台左右に配置して使っています。
今までは、マイクを使うとなると教室に入りにくかった生徒達が、ミライスピーカーからのマイクの音は受け入れられたり、運動場に避難する訓練でも、聴覚過敏でイヤーマフをして音を遮っている生徒でも、ちょっとイヤーマフを浮かして音を聞こうとしたりする姿があります。これは、今までになかった生徒達の姿だと感じています。
SF:
教職員の皆様のミライスピーカーの評価がいかがでしょうか?
上戸さま:
30~40名の様々な特性のある生徒達が集まって一緒に話を聞く時、静かに話を聞ける生徒もいれば、落ち着くフレーズをずっと言ったり、ちょっとパニックになって大きな声を出したりする生徒もいます。そのような環境の中でも、先生の言葉がけが全体に伝わらないと困るのです。
今までは、大声で学習内容を説明したり、言葉がけなどを行っていました。それを、ミライスピーカーを使ってマイクアナウンスするようにだんだんと変えてみたら、一部の生徒達に、話を聞く姿勢を整えたりする姿がみられました。先生も大声を出さなくてもよくなったというのは、よかったことかと思います。
SF:
ぼうさい甲子園で評価された点について教えてください。
上戸さん:
ミライスピーカー含め、防災グッズでありながら、日常使いするという点が評価されました。
ミライスピーカーの他には、カプセルテントも日常使いできる防災グッズです。例えば、日常使いとしては、気持ちがちょっと乱れた生徒が、テントの中に入って、気持ちをリセットするためにカプセルテントを活用しています。災害時に、急にテントに入るのが難しい生徒達もいますので、日々使い慣れておくと、非常時にもスムーズに使えると考えています。
SF:
ありがとうございます!そのようにお役に立てていること、我々もとても嬉しく感じています。
上戸さま:
また、「ミライスピーカー・モビィ」はポータブルであることがとても助かっています。職員室にも「訓練時・災害時はミライスピーカーを持ち出す!」という掲示がはってあります。
また、聴覚過敏でない生徒達に、ミライスピーカーの音の聞こえやすさはどうかを聞いたこともあるんです。変わらないっていう生徒もいるし、聞こえやすいって言う生徒もいる感じです。でも、聴覚からの理解が優位の生徒達もたくさんいるので、「聞こえる」ということは「伝わる」ということ、ということを本校の教職員は大事にしています。
SF:
「聞こえる」ことの大切さ、我々も改めて感じることができました。今回は、貴重なお話をきかせていただき、ありがとうございました!
*当事例でご紹介しております、ミライスピーカー・モビィは、2022年9月現在、販売しておりません。当記事は、曲面サウンドの活用事例をご紹介する目的でご紹介しております。